2024/05/19
2本足で直立して歩く人間にとって、上半身の重みを支え続けている『腰』は、まさに『身体の要』。 腰はさまざまな動作の支点となるため、私たちは生活の中で、自ずと負担をかけてしまいがちです。厚生労働省の調査によると、無理を続けてきた40~50代の責任世代以降で”腰の痛み”を感じている人が急増することも判っています。
また、夏に向けて冷房をつける機会が増えるこの時期は、『身体の冷え』から腰痛を悪化させないよう、注意が必要な季節です。そこで、今回は『腰痛』についてお話しすることにしましょう。
『腰の痛み』はなぜ起こる? ~腰のしくみ~
背骨(脊椎(せきつい))は『椎骨(ついこつ):椎体と椎弓』という小さな骨が縦に積み重なった”S字形”の構造をしています。また、椎骨と椎骨のつなぎ目には、それぞれの椎骨をしっかりとつなぎ、衝撃を和らげるクッションの役目をする『椎間板(ついかんばん)』と呼ばれる軟骨があります。背骨の中は空洞になっていて、その中を『脊髄(脳からつながっている中枢神経)』が通っているため、背骨が大切に守っているのです。
腰の椎骨や椎間板に障害が起こるなどして神経が障害されると、『腰痛』のほか、『脚のしびれ』などが引き起こされます。
図『きょうの健康』より
主な『腰痛』の種類と症状
腰痛の種類はさまざまですが、最もよく見られるのは、脊椎やその周辺の筋肉などの病気によるものです。骨の老化や変性などであれば、病院の検査(原因の特定のため、エックス線などの画像検査を行う場合があります)で原因を特定することができます。
① 器質的な変化を伴うタイプ ~骨の老化や変性~
種類 | 椎間板(ついかんばん)ヘルニア | 脊柱管狭窄症(せきちゅうかんきょうさくしょう) |
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腰椎の側面図 | ||
特徴 | 椎間板が変性して髄核(ずいかく)が飛び出すと、神経が刺激され、腰痛や脚のしびれが生じます。 | 椎骨の変形や靭帯(じんたい)の緩みによって、脊柱管(背骨中の空洞)が狭くなると、神経が圧迫されて腰痛や脚のしびれを伴います。 |
図『きょうの健康』より
② その他のタイプ
種類 | 特徴 |
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急性腰痛症 (ぎっくり腰) | 腰をひねったり、重い荷物を運んだ時に突然に起こる、急性の腰痛です。筋肉や靭帯など骨以外の組織が損傷を受けて起こる”腰のねんざ”で、発作直後は強い痛みを感じますが、時間とともに痛みは徐々に和らぎます。 |
慢性腰痛症 | 急性期を過ぎても、痛みが持続したり、繰り返す場合をいいます。脊椎を支える筋肉や靭帯が、慢性的に疲労することで起こるものです。慢性腰痛の大半を占める筋性腰痛は、女性に起こりやすいとされています。 |
女性に腰痛が多いのは??
一般的に、女性が『腰痛』を感じやすい主な理由は・・・、
- 女性は脊椎を支える”筋肉や靭帯の力が弱い”
- 妊娠や出産によって、腰に負担がかかりやすい
- 月経時・更年期障害などに伴い、下腹部痛や腰痛を感じやすい
- 閉経後の女性ホルモンの低下で、骨からカルシウムが失われやすい
などが考えられます。
そこで、厚生労働省の国民生活基礎調査(平成19年)における『腰痛の通院者』の結果をご覧いただきますと…、年齢とともに腰痛を訴える人は増える傾向が出ています。
また、女性は男性に比べて1.5倍近くにのぼることから、痛みの訴えを起こしやすいことがよくわかります。
さらに、年齢層別に女性の割合を見ていきますと…、特に更年期世代の50代を境に腰痛を訴える女性は急増しています。女性ホルモンの減少で骨からカルシウムが失われやすくなり、骨粗鬆症による腰痛なども起こりやすくなるものもここに含まれます。
先にお話しした『女性が腰痛を感じやすい4つの理由』からもわかるように、女性に起こる腰痛は女性ホルモンの働きが密接に関係しているのです。
この他にも内臓の病気が背景にあって腰痛を起こすこともあります。器質的な問題が疑われるケースも含め、腰痛のきっかけや原因がハッキリ判らない時は、早めに医療機関を受診することも大切です。
現代医学では…
現代医学では、基本として非ステロイド性消炎鎮痛薬などの薬物療法、局所麻酔薬などのブロック注射などの保存療法が行われます。骨の変性などによる腰痛で保存療法でも効果がない場合には、神経を圧迫する原因を手術療法で取除くこともあります。
ホノミ漢方では…
漢方では『気(神経の働き)』、『血(血行・ホルモン)』、『水(水分代謝)』という考え方があり、痛みは、原因としてこれらを乱しやすい体質が関係して生じると考えられています。
とくに、慢性的に続く腰痛をはじめ、それらに伴う痛み・しびれに対しては、漢方的な治療で対処することも可能です。
ホノミ漢方には、痛みの原因となる『気・血・水の乱れ』を整えながら、『腰痛』などの”痛み”の症状を根本から改善するお薬として、「ロイルック錠」(錠剤タイプ)と「ロイルック」(カプセルタイプ)があります!
また、お薬の服用だけではなく、日頃から次のような『腰痛』を起こしにくい養生法を取り入れることも大切です!
『腰痛』を予防するための養生法
1)腰に負担をかけない姿勢を!
- 重い荷物を持ち上げる時は、膝を伸ばしたままだと腰への負担が大きくなります。片膝を付いて体に引き寄せるようにして持ち上げるようにしましょう。
- 背骨の”S字カーブ”を意識することが、腰に負担をかけない姿勢のポイントです。立つ時も背筋を伸ばして胸を張り、お腹を引き締めて立つようにすると”S字カーブ”が保たれます。
2)適度な運動を心がけ、腰の周りの筋肉を動かしましょう!
- 痛いからといって身体を動かさなくなると、腰や下半身の筋力が落ちてしまい、腰痛を悪化させてしまう悪循環になることがあります。水泳や散歩などで無理のない適度な運動を取り入れ、脊椎を支えるのに必要な腹筋や背筋を鍛えるようにしましょう。
3)肥満の解消に努めましょう!
- 肥満は重い体重を支えるため、腰に過剰な負担をかけてしまいます。肥満にならないよう、食べすぎは控えることが大切です。
- 将来、骨粗鬆症を起こさないためにも、カルシウム不足となる無理なダイエットは禁物です。また、カルシウムを含む牛乳や小魚などを摂り、骨を強くする栄養バランスのとれた食事を摂るようにしましょう。
4)身体を冷やさないように!
- 冷えは、特に慢性的な痛みの場合は、症状を悪化させる要因になります。 夏場は冷房の効かせ過ぎ、冷たいものの摂り過ぎは控えることも大切です。